「こまねこ」の新作撮影現場に行ってきた!コマ撮りアニメの繊細で丁寧な「ものづくり」に思わずため息…【現地レポ】
2020.12.31 (Thu)
インタビュー・コラム
約7年ぶりの新作ショートムービーが公開されたコマ撮りアニメーション作品「こまねこ」。久しぶりに見るこまちゃんの、かわいすぎる表情や動きがたまらなくかわいいです! まだ見ていない方はこちらの記事からどうぞ↓
生こまちゃんに会いたい!「こまねこ」新作アニメーションの制作現場へGO!
実は、この「こまねこ」の新作アニメーション、制作スタジオであるドワーフの公式Twitterで制作過程が少しずつ公開されており、ただ完成を待つのではなく、「作り上げる」ワクワクを一緒に味わえるという、うれしい心遣いがありました!
が、しかし「かわいい」に対して果てしなく貪欲なのが我ら「Kawaii Characters JAPAN」。制作風景のおすそ分けだけじゃまだ物足りない!もう生こまちゃんに会わないと、気持ちが収まらない!とばかりに、ゴリ押しで(←うそうそ!ちゃんとお願いしたら聞いてくれました)制作中の現場にお邪魔させていただきました!
「どーもくん」や「リラックマとカオルさん」も手がけるドワーフのスタジオへ
「こまねこ」シリーズを制作しているのはドワーフ。NHKの「どーもくん」やNetflix オリジナ ルシリーズ『リラックマとカオルさん』も手がけ、「こま撮りといえばここ!」というべき制作スタジオです。卓越したこま撮り技術で、映像作品は国内外で評価されています。
というわけで、ドワーフのスタジオに到着!建物自体は倉庫のようなシンプルな作りですが、顔のついたDの文字が目印が入っているだけで、なんだかかわいく見えてくる…
生こまちゃんにご対面!思ったより小さい…そして何よりかわいいが過ぎる!!
ついて早々、「今、休憩中なのでのぞいてもいいですよ」と「こまねこ」撮影中のセットの中へ。そこには、こまちゃんが、、、いた!!!(そりゃそーだけど)
生で見るこまちゃんは、体長約25cm程度でしょうか、頭が手のひらにコロンと乗りそうなサイズ。こまちゃんがコンテを書く大きな机の上に置かれた、こまちゃんのお気に入りのぬいぐるみ「ももいろちゃん」と「はいいろくん」は5cmぐらいでしょうか。さらに、鉛筆立てに入った鉛筆やハサミは2、3cm。その全てが驚くほど細やかに作られています。
「神は細部に宿る」… 細かい部分まで世界観の作り込みがすごい!
動画の中ではちらっとしか見えない、こまちゃんのカメラやミシンなどもとても精巧に作られていて、その世界観の作り込み具合に感動しました!「神は細部に宿る」というのは、建築の世界だけでなく、クリエイティブの現場すべてに言える事なのですね。
こまちゃんの表情を動かすときに、まぶたの閉じかただけでも8種類を使い分けると聞いた時には震えました、、、!!!
天窓から優しい光が差しこむこまちゃんの部屋の周りは、実際はこんな風。カメラや照明など、たくさんの機材に囲まれています。
超精鋭の「こまねこ」初期メンバーが集結!こまねこの物語が新たに動き出す…
新作は7年ぶりとはいえ、制作メンバーは「こまねこ」を初期から作り上げてきた精鋭ばかり。こまねこの生みの親である合田経郎監督のコンテには、どのカットが0.0何秒流れるのかまで、細かく指示が書かれています。
こまちゃんの机の上にあるコンテは、合田さんの手書きコンテをそのまま小さくしたものだそう。
1秒に24コマ。「1日に5秒も撮れれば早いほう」という果てしない積み重ね
そんな精鋭メンバーが揃っていても、1日に撮影できるのは「5秒も撮れたら早いほう」。というのも、「こまねこ」のこま撮りは、1秒に24コマ。つまり、5秒には最大120コマの写真が入ります。
1コマ撮るたびに、こまちゃんの動きや表情などを繊細に動かしていき、何度もチェックを重ねて、丁寧に微調整をして…というこの撮影がわずか0.04秒分。最大120コマ分繰り返してやっと5秒…。その繊細で丁寧で、果てしない積み重ねに、思わず「はわぁぁぁ…」とため息が出てしまいます。
こまちゃんを動かすのは、作品初期から参加しているアニメーターの峰岸裕和さん。何度もモニターでこまかくチェックしながら、こまちゃんのボーズや表情を決めていきます。例えば、この写真の「机の上でコンテを描いていたこまちゃんを椅子から立たせて、部屋の後ろに立たせる」というセッティングだけでも、決まるまでは1時間近く。
それが映像になるのは、ほんの一瞬。その一瞬の0.04秒をひたすら積み重ねていく緊張感と、気が遠くなりそうな繊細さに、思わず手を併せて祈ってしまいました。
さて、上の写真のシーン、公開中の「こまねこショートムービー2021」の中の、どのシーンかわかりますか?
答え)8秒から9秒に変わるぐらいの一瞬の部分です。
こま撮りにチャレンジしたいなら、学びいっぱいの「dwarf2(ドワドワ)」
そして、「自分でもこま撮りアニメを作ってみたい」「こま撮りアニメの現場を見たい!」と思った方に朗報です!ドワーフが運営するこま撮りファンクラブサイト「dwarf2(ドワドワ)」では、合田経郎さんのインタビューや、アニメーターの峰岸さんによる「こま撮りアニメ講座」を公開しているほか、スタジオ見学やワークショッ プなども開催予定とのこと。
こまちゃんのように「ものづくり」したい気持ちが芽生えたら、ぜひのぞいてみてくださいね。
<infomation> ●スタジオ・ドワーフ公式サイト http://www.dw-f.jp/ ●こまねこショートムービー2021 - YouTube https://www.youtube.com/watch?v=YM5cQf1ZtDM&feature=youtu.be ●こまねこ公式サイト http://komaneko.com/ ●こまねこ【公式】Twitter @komanekofficial ●dwarf2(ドワドワ) http://dwdw.jp
<こま撮り(ストップモーションアニメーション)とは?>
こま撮りは、人形や小道具を(時にはカメラも)人の手によって少し動かしては撮影し、また少し動かして は撮影し、という作業を繰り返して映像を作っていく伝統的な手法です。撮影した絵を 24 枚をつなげる と、ようやく 1 秒の映像が出来上がります。1 日作業をして撮影できるのは 5 秒~10 秒程度です。 英語では「stop motion animation」と表記し、日本語ではひとコマひとコマ撮影していくので「こま撮り」と 呼ばれています。実写や CG にはない手作りの温かみがある映像を作ることが魅力のひとつです。
©dwarf・こまねこフィルムパートナーズ
取材・文/サカイカオリ
※掲載情報は2020年12月27日時点のものです。