【行ってきた】「原田治展 『かわいい』の発見」@神戸ファッション美術館。「懐かしいのに新しい」愛され続けるデザインの真髄がここに!【現地レポ】

【行ってきた】「原田治展 『かわいい』の発見」@神戸ファッション美術館。「懐かしいのに新しい」愛され続けるデザインの真髄がここに!【現地レポ】

日本の「かわいい」文化に影響を与えたイラストレーターの原田治さん。その魅力がぎゅっと詰まった「原田治展 『かわいい』の発見」が現在、神戸ファッション美術館で開催中です!

開催概要はこちら↓
ミスドでもおなじみ!「OSAMU GOODS」の原田治のイラストやグッズが超充実!「原田治展『かわいい』の発見」が神戸ファッション美術館で開催!

会場は、貴重なグッズと原画がズラリ。幼少期から晩年期まで歩みや、原田さんの多面性と作り手側の視点が分かる展示になっていて、自分の生き方や仕事の仕方について見つめ直せるような素敵な内容でした。

小さい頃にOSAMU GOODSの景品を目当てに母とミスタードーナツに通った思い出を胸に、大阪在住のライター岩波が展覧会初日の会場の様子をくわしくレポします!

OSAMU GOODSの世界に没入していくようなわくわく感のある展示

 

入り口から薄暗い会場内に入ると、長い廊下の突き当りにOSAMU GOODSの犬のキャラクターが煌々と浮かび上がっています。原田治さんの世界に通じる一本道を歩いていくような気持ちでドキドキと歩みを進めます。

会場で印象的だったのが高い壁。次に何が展示されているのかが全く見えないのは、「この先にどんなものがあるんだろう!?」とわくわくしてほしいという会場設計者の意図によるものだそう。

多彩な筆致に驚き!その作風のルーツを辿れる

幼少期から絵を得意とし、7歳のころから洋画家・川端実の絵画教室へ通い始めた原田さん。多摩美術大学卒業後、1年ほど欧米に渡ります。帰国後、雑誌『an・an』創刊号でイラストレーターとして実質デビューを飾ります。

 

小学生の頃に描いた風景画。出身である築地の下町ならではの空気感が力強いタッチで描かれています。


ニューヨーク滞在中のノートに描かれたイラストは壁一面にプリントされていました。

「平凡パンチ女性版」でデビュー「an・an」での活躍

ニューヨーク滞在中に描いたイラストが、アートディレクターの堀内誠一の目に留まったことが原田さんの転機となります。雑誌「an・an」の創刊準備をしていた堀内氏は、市場調査として出版された「平凡パンチ女性版」に原田さんのイラストを起用しました。イラストレーターとしてデビューした原田さんは、時代をリードする画期的な女性誌を舞台に活躍していくこととなります。

雑誌「an・an」1973年付録「6大都市ファッションマップ」、BIGIのシャツ(1972年)、ワッペン(雑誌「an・an」1971年10月20日号)
ポスター(1975年頃)

約10種類の描写スタイルを編み出していく

OSAMU GOODSのようなかわいらしいイラストの印象が強い原田さんですが、「5年で約10種類の描写スタイルを編み出して、様々なタイプの需要に応じることができました」(自著『OSAMU GOODS STYLE』(ピエブックス、2004)、「あくまで大事なのはテーマや内容にそっていること」と語る通り、仕事のジャンルによって様々な描写スタイルを自在に変えて作画しました。天性の画力による描き分け、そして職人的な姿勢をうかがい知ることができます。

三遊亭円生(1981年)
雑誌「25ans」1980年10月号連載「アメリカ短編作家シリーズ」挿絵原画

 

雑誌「an・an」コーナータイトルロゴ原画(1970年代)

若者が食わず嫌いしてしまいそうな一見お堅そうなジャンルも、原田さんの手にかかればこの楽しさ!

様々な雑誌の表紙のイラストレーションを手掛ける

『an・an』のみならず、『ビックリハウス』『POPEYE』『BRUTUS』といった様々な雑誌の表紙のイラストレーションを手がけました。

雑誌「Hanako」連載コラム「KABUKI」タイトルロゴ原画(1990~93年頃)

1975年に創刊されたサブカルチャー誌「ビックリハウス」の貴重な表紙資料。

イラストを提供するほか「明石町先生」のペンネームで、編集者や関係者の似顔絵マンガも連載しました。

書籍の表紙、子ども向けの絵本の出版

書籍の表紙も数多く世に送り出されました。従来のイメージとは異なる抽象的な作風が新鮮です。その他、子ども向けの絵本となどの原画も展示されています。

「ももたろう」(小学館)原画
「ハイク犬」(学研プラス)原画

原田治さんの描かれた「ももたろう」(小学館)があったとは!その原画の愛らしさが忘れられず、展覧会を見終わった後すぐに図書館で絵本を予約しちゃいました。子どもたちに見せたい、伝えていきたい世界であるというのも、原田さんの作品の魅力のひとつだと思います。

えっこの子もなの!? 原田治さんによって生み出された様々なキャラクターに出会える

カルビーの「ポテト坊や」(通称)や、日立のルームエアコン「白くまくん」、東急電鉄の注意喚起ステッカーのクマ…私たちの日常の様々な場所に原田治さんのイラストがあるという驚き、その親しみやすさ、色褪せず愛され続けてきたことを改めて実感できます!

個人的に一番おもしろかったのがこちらの資料です。
江崎グリコ「プリッツ」のラフデザインに対する修正を、その理由と改善案とともに記したもの。クライアントの意図を汲んだ上でどのような表現方法が一番「伝わる」のかを妥協せずに突き詰めていく原田さんの仕事への姿勢に刺激を受けました。

今でこそ当たり前となったプロダクトデザインの発想も当時はまだなく、イラストレーターの仕事はイラストを描くだけ、というのが当たり前の時代でした。デザインにまで関わるという新たなスタイルを切り拓くことは、作品に込めたメッセージを正確に一番かわいく届けるため、原田さんにとっては当然の手段だったのかもしれません。

一貫したセンスと美意識!様々な創作活動と暮らしぶりから、原田治という「人」の内面の魅力を知る

ペーター佐藤、新谷雅弘、安西水丸、秋山育とともに作品展を催した際に立ち上げた「パレットクラブ」では83年からイラスト教室を始め、メンバーと毎週交代で講師を務めるなど絵画やイラストの道を志す後輩のための活動にも尽力した原田さん。原田さんの「かわいい」という感覚に大きな影響を及ぼした映画「地下鉄のザジ」についての紹介や、未発表の個人的な創作活動による作品などから内面の魅力を映し出します。

原田さんが大好きだった映画「地下鉄のザジ」(2005年4月15日)
地下鉄のザジ(1981年)

個人のブログで創作についてのメッセージを発信していた原田さん。ブログに登場した、原田さんのお気に入りや心を動かしたものの数々が並びます。


多忙な日々の中でも抽象的な絵画や立体の制作を続けていました。原田さんが個人的で作った未発表の作品や、離島に自ら設計したというアトリエでの様子から、原田さんの日常や思想に触れることができます。

当時も今も…人々の憧れを形にしたOSAMU GOODSの世界を堪能!貴重なお宝グッズも多数

OSAMU GOODSは「失われた古き良き時代のアメリカ」をデザインコンセプトに据え、イラストレーションだけでなくパッケージやロゴタイプ、色・形・素材、すべての要素に気を配り数千点のアイテムを製作しました。

その基盤となったのは、輸入食料品店の卸商を営む実家や、日比谷にあった輸入専門のドラッグストア・アメリカンファーマシーに通いつめてアメリカ文化に影響を受けたことなどが、レトロポップな作風に色濃く反映されています。

スロープを上った部屋に入ると…

待ってましたOSAMU GOODSの原画がズラリ!

着想の元となった童謡のマザーグースのイラストも。

異文化のあこがれをさりげなくおしゃれと自分のスタイルに取り入れられることができる原田さんのイラストレーションは当時女子中高生を中心に爆発的な人気を博しました。

とくに印象的だったのは、線の美しさです。
原画を見るまで、なぜかパソコンで描いているのかと勝手に勘違いしていました(よく考えたら年代的にパソコンなんてあるはずない…)。

それくらい、均一で美しい、それなのにどこかあたたかみを感じさせる線。シンプルな黒い描線で描かれたジャックたちは、よく見るとびっくりするほど太いマジックで迷いなく描かれています。

手書きの色指定の資料には現場の“生”感が漂っていました。今や全てがデジタルで1クリック…。

長細い廊下を抜けるとOSAMU GOODSが壁にしきつめられた大きな部屋が広がります!!
その空間演出も手伝って、思わず「わっ」と声を上げる人も多かったです。

そのほとんどが、コレクターの方からお借りしたという、今では目にすることができない貴重なお宝資料。この画像の左上のくまさんのキャラは初めて見ました。再販してほしいキュートさ!

「「OSAMU GOODS FANCLUB」とプリントされたトレーナーも目立っています。

どこをカメラで切り取ってもかわいい空間なので20代くらいの女性3人のグループは、ここを背景に何枚も記念写真を撮っていました。美術館ではなかなか見ない光景かも…。おばあちゃんも、おじさんもみんな熱心に写真撮影。人がいない写真を撮るのが大変なくらい。原田さんの幅広いファン層を改めて感じることができました。

様々な表現方法を身に着け、クライアントのニーズにこたえるためにどの自分のスタイルを出せば一番喜んでもらえる形になるのかを突き詰める…今までもこれからもずっと愛されるものづくりのヒントをここに見たような気がします。

「原田治展『かわいい』の発見」は、8/29(日)まで。あなたも「かわいい」の秘密を探りに、出かけてみませんか?

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【information】
■ 原田治展「かわいい」の発見
■会場:神戸ファッション美術館(神戸市東灘区向洋町中2の9の1)
    電話078・858・0050  ファックス078・858・0058
■開催期間:2021年7月3日(土)~2021年8月29日(日)
       ※新型コロナウイルスの影響で変更の場合があります。
■休館日:月曜日、8月10日(ただし8月9日は開館)
■開館時間: 10時~18時(入館は17時30分まで)
■観覧料: 一般1000(800)円、大学生・65歳以上500(400)円、高校生以下無料
        ※神戸市内在住の65歳以上の方は無料
     ※カッコ内は有料入館者30人以上の団体料金
    ※小学生以下は保護者(大学生以上)の同伴が必要
    ※神戸ゆかりの美術館、小磯記念美術館の当日入館券(半券)で割引

■展示ゾーン概要
ZONE 1 History  イラストレーターデビューまで
ZONE 2 Works  雑誌や装幀、広告など原田治の仕事
ZONE 3 Joy  イラストレーターとしての顔とは違う原田の作品や創作背景
ZONE 4 Dusty Miller OSAMU GOODSのキャラクター達

■原田治プロフィール
東京生まれ。多摩美術大学デザイン科卒業。1970年、当時創刊された「an・an」でイラストレーターとして本格デビュー。1976年、「マザーグース」を題材にしたオリジナルのキャラクターグッズ、「OSAMU GOODS」の制作を開始、女子中高生の間で大人気となる。1984年、ミスタードーナツのプレミアム(景品)にイラストを提供、以降シリーズ化され一世を風靡する。1997年、イラストレーターを養成する「パレットクラブスクール」を、生まれ育った築地に開設。主な著書に『ぼくの美術帖』他。

【お問い合わせ】
神戸ファッション美術館
TEL:078-858-0050
URL:https://www.fashionmuseum.or.jp

●ご来館者には下記をアナウンスして対応し、安全を第一に運営してまいります。
・入館時の体温測定にご協力ください。咳、発熱など体調不良の症状がある方は、ご来館をご遠慮いただきますようお願いいたします。
・マスク着用をお願いいたします。咳エチケットをお守りください。
・手指消毒にご協力ください。館内に消毒液をご用意しております。
・館内では会話をお控えいただき、お静かにご鑑賞ください。
・近くの方とできるだけ間隔をおいて、ご鑑賞ください。
このほか状況により、入館制限・禁止をお願いする場合があります。
・感染予防や拡散防止のため、美術館スタッフはマスクを着用しています。

ⓒ OSAMU HARADA/KOJI HONPO
文/岩波縁
※掲載の情報は2021年7月8日(木)時点のものです

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